インプラント治療の普及率について
日本のインプラント治療は普及率が低く、マイナスなイメージを抱えている患者さまが多い傾向にあります。実際、海外に比べると日本は「インプラント後進国」といえるでしょう。
本コラムでは、日本と海外のインプラント治療の普及率を比較しつつ、普及率が低い理由を解説します。インプラント治療への向き合い方についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
日本は海外よりも「インプラント治療の普及率」が低い
日本のインプラント普及率は、海外と比べるととても低い数値となっています。厚生労働省のデータによると、インプラント装着者の割合は40代から60代前半までほぼ横這いであり、全体の1.4~2.8%程度に留まっているとされています。60代後半からはインプラント装着者の人数はやや増加しますが、全体の2.7~4.6%程度と割合は低いままです。このように、どの年代を見てもインプラント普及は5%未満に留まっており、日本が「インプラント後進国」と呼ばれる理由です。
一方、ブリッジや入れ歯の使用率は高く、依然として治療の選択肢になっているといえるでしょう。しかし、超高齢化社会の影響で、65歳以上のインプラント普及率は徐々に増えてきており、日本でもインプラント治療が主流となる可能性もあります。
インプラント治療の普及率が低い「3つの理由」と「インプラントへの向き合い方」
日本におけるインプラント治療の普及率が低い理由の一つは、インプラント治療に精通している歯科医師が限られていることです。そのため、難しい症例の治療に対応できる歯科医院が少なく、なかにはインプラント治療が受けられない方がいらっしゃいます。また、日本人の歯に対する美意識が低い点も、インプラント治療の普及を妨げている要因の一つでしょう。
さらに、インプラント治療は高額な治療費がかかることから、治療を受ける決断を躊躇する方も多いのが実情です。結果的にこれらの要因から、多くの方が保険適用内の治療を選択すると考えられています。しかし、インプラント治療には、他にはないメリットが多くあることを忘れてはいけません。特に注目したいのが、長期的に予後がよい点です。ブリッジや入れ歯などの治療に比べて予後がよく、定期検診やメインテナンスによって長く使用できます。
インプラント治療の失敗を心配している方は、経験と実績が豊富な歯科医師に相談することをおすすめします。可能であれば、活発な学術活動を行っている歯科医師や、最新の設備を完備しているクリニック、そして優れたスタッフを持つところを選ぶのが望ましいです。これからの歯科治療の選択肢として、インプラント治療を選択してみてはいかがでしょうか。
- Q1 「歯科医師はインプラント治療を選択しない」と聞きますが、本当ですか?
- A1:すべての歯科医師がインプラント治療をしないわけではありません。インプラント治療を含め、すべての歯科治療にメリット・デメリットがあるため、歯や骨の状態に合った治療法を選択しているだけに過ぎないのです。また、多くの歯科医師が大学でインプラントに関する教育を受けていない世代であることも大きな要素です。そのため、インプラント治療の経験のない歯科医師はインプラント治療に否定的となる傾向があります。
- Q2 インプラント治療を安く抑える方法はありますか?
- A2:インプラント治療は事故や癌による広範囲の顎骨切除等を除き、保険適用外となるため一般にある程度の高額な費用がかかります。しかし、分割して費用を支払えるデンタルローンを活用したり、医療費控除・高額療養費制度を利用したりすると負担が減るでしょう。